東京都言語聴覚士会

Tokyo Speech-Language-Hearing Therapists Association

設立趣意


設立趣意書

言語聴覚士法の成立から、早くも10年を超える年月が経過しました。この間、医療の領域では、言語聴覚士に関わる施設基準が定められ、診療報酬上も理学療法・作業療法と同等に位置づけられるに至りました。また、介護・福祉に関わる領域においては、介護保険制度、障害者自立支援法などの新たな制度が生まれ、障害ある方々の「自己決定」を尊重し、その「自立支援」を目標とする考え方のもと、様々なサービス提供者の中に言語聴覚士も位置づけられてきました。平成21年3月現在、言語聴覚士の有資格者は1万2千人を超え、わずかこの10余年の間に、関連する様々な制度の誕生とともに、まさに激動の時代を生きてきたといっても決して過言ではないと思います。平成11年に発足した日本言語聴覚士協会は、言語聴覚士の職能組織として、上記の様々な制度の成立に関わり、また言語聴覚士の資質の向上を目指し、多くの教育研修活動を全国的に展開してきました。平成16年には「日本言語聴覚学会」が設立され、学術の分野においても活発な論議が尽くされるようになってきたと思います。

さて一方、私たちが勤務する東京都について考えてみましょう。確かに東京は日本の首都であり、言語聴覚士の数も多く、また専門的な知識や情報も得られやすい場所なのかもしれません。しかし、人口は1千万人以上、都心部ばかりではなく、山間部も離島もあるこの東京において、はたして障害ある方に対して質・量ともに充実したサービスは提供できているでしょうか。障害ある方の「生活機能」の改善に言語聴覚士として応えているでしょうか。急性期から回復期、そして維持期へと連携は十分に行われているでしょうか。発達上の障害ある方の乳幼児期から生涯にわたる成長を支える援助は十分にできているでしょうか。言語機能等の回復がなお認められるにも関わらず、制度がそれを困難にさせてはいないでしょうか。その他、多くの様々な問題の中で、各々の言語聴覚士が不安や疑問を感じながら、日々の業務に追われているのが現実であると思います。

私たちは、東京におけるこれらの状況を解決すべく、東京都言語聴覚士会を設立いたします。会では、以下のような活動を行ないます。

  1. 医療、介護、保健、福祉、学校教育等の関連する領域について、会員と都士会との双方向の情報交換を緊密に行ない、地域社会における各領域の発展と充実に寄与します。
  2. 教育・研修制度の充実をはかり、言語聴覚士の資質の向上に努めます。
    お互いに顔がみえる地域での小規模な研修会なども考えていきます。
  3. 関連諸機関および団体等と連携・交流し、障害ある方々により良いサービスが提供できるよう努めます。
  4. 上記の活動を通じ、また日本言語聴覚士協会と連携し、地域組織では対応が困難な事項についてその解決に努め、東京都における言語聴覚士の社会的地位の向上を目指します。

東京都におけるすべての言語聴覚士が本会に入会され、自己研鑽に励み、地域社会に貢献することを目指して下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

平成21年3月18日